川嶋針灸整骨院

2010.1.8 院長手記


日本臨床鍼灸懇話会理事

東日本医療専門学校鍼灸スポーツ科学科 学科長  川嶋 和義                           

 

  NHK『唐招提寺1200年の謎』のドキュメンタリーで「天平の甍」の金堂の屋根,瓦や鴟尾,金堂内部の天井,扉など,震災の後の大改修作業.なかでも鴟尾を焼いた瓦職人は,自分の作品を「あと2000年位はこのままでいるはず」と胸を張った匠の技に感動した.

 

 臨床経験を踏まず,プロの生き様も知らず,卒業して即教員からの「習熟度の低い技の継承」は「絵に描いた餅以上に味気ない」ものになりかねない. しかし,初学者でも眼から鱗的な「望診術」の指導で「車でいう外周やS廻り」程度は瞬時に身につき,その日のうちに走り出し「習熟度」は高くなる.

 

 第48回懇話会の全国集会のテーマは「鍼灸臨床力を鍛える」.まさに鍼灸師の資質向上の必須の条件である.社会が求めている鍼灸師像は「医療者として恥じない資質と,研ぎ澄まされた直感的な認識力も兼ね備えたバランスの良い臨床家」である.言い換えれば「感動偏差値」の高い鍼灸師による「乾坤一擲」の技が,未来永劫につながる.

 

 日々の鍼灸臨床を忘れて「古酒を新しい革袋に入れた」EBMヌーボーは,「野趣に満ちた味」で個性的としかいいようがない.EBMに馴染まない「汗牛充棟」酵母がブレンドされた美酒を何とか生存中には堪能したいものだ.

 

 仏教経済学の提唱者であるE・シューマッハは,「よい靴屋は靴づくりの知識を十分もっているだけではだめなことはよく心得ている.足の知識が要るのである」と述べている.「靴」を「鍼灸」に,「足」を「人間」に,置き換えてみれば「感動偏差値」を高めるには何をすべきかが,みえてくる.

                                                                    「医道の日本」2010新年号より

 




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